「田舎で子育て」と聞くと、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか?
広い野原で駆けずり回って遊ぶ子供?
自分で育てたオーガニック野菜のサラダ?
ログハウス風のおしゃれな我が家?
いいですね。心豊かなスローライフ。どれも実現するのはそう難しくなさそうです。
でも、田舎はこういった牧歌的な面だけではありません。
たとえば広い野原。
すみっこの草むらにヘビが潜んでるかもしれない。
たとえばオーガニック野菜。
ネキリムシに根を切られて全滅してしまうかもしれない。
たとえばログハウス。
暮らしているうちに丸太が細って、隙間風が入るようになるかもしれない。
自然とともに暮らしていると、思い通りにならないことばかり。
「こんなはずじゃなかった」の繰り返しでストレスを溜めてしまうぐらいなら、都会の方が快適に過ごせることでしょう。
ということで、今回は「これを読めば自分が田舎で子育てするのに向いてるかどうかわかる」を目標に書きました。
理想のイメージだけで突っ走ると痛い目にあうので、これを読んで未然に防いでくださいね。
田舎で子育てするのに向いてない人の特徴
田舎暮らしのメリットやデメリットを挙げている記事をいくつか読みましたが、その書き方に私は違和感を覚えました。
ほとんどの出来事は、それ単体ではメリットでもデメリットでもありません。
起こったことがメリットになるかデメリットになるかを決めるのは、ひとえにその人の感じ方です。
これだけだとわからないと思うので、例をあげましょう。
たとえばご近所付き合い。
隣近所によく話しかけてくるおばちゃんがいるとします。
「近所のおばさんは頼みもしないのに色々口出ししてきてうっとうしい」
と思うとデメリットになるし、
「近所のおばさんはこのへんの風習を親切に教えてくれてありがたい。おかげですぐに地域に溶け込むことができた」
と思うとメリットになります。
このように、おばさんが話しかけてくること自体には良いも悪いもありませんが、それをどうとらえるかで、印象は180度変わってしまいます。
着目すべきはメリットやデメリットではなく、「自分はこんなときにどう感じるのか」です。
これから田舎で起こることをたくさん挙げていきますが、これらを「すごくイヤ」と思うなら、田舎は向いてません。
反対に「それくらいなら大したことないな」と思えるようなら、さほどストレスを感じることなく田舎での子育てを満喫できることでしょう。
特徴① 潔癖
潔癖な人から見れば、田舎の世界は不潔なものだらけ。
窓を開けていると野良猫が家に入ってきます。
公園には鹿のフンが落ちてます。
野菜を育てたらナメクジがやってきます。
夏場になると夜の明かりにカメムシが大挙して群がります。
寝ている間に家の中に入り込んだムカデに噛まれることもあります。
子供はろくに手も洗わずにそこらじゅうをベタベタ触りまくります。
それでなくても幼いうちは蚊に刺されただけでもやたら腫れます。
できるなら清潔な環境で安全に子育てしたいと思うのは自然な親の心理ですが、田舎では残念ながらそれはかないません。
「清潔な環境で子育て」を実現しようとすると、子供の居場所は閉め切った家の中しかありません。
屋外にアルコールスプレーはありませんからね。
そのため子供は虫刺され、腫れ、かぶれなどはしょっちゅうです。
いちいち気を揉んで症状を検索して病院にかかって、なんてやってたら消耗するばかりです。
私の知り合いには潔癖のあまり1年で100回病院に通ったという人もいます。
本人いわく「病院ばかりで本当に毎回疲れる」とのことですが、微熱の風邪や小さな腫れの一つ一つですべて医者に連れていったらそりゃあ疲れますよ。子供だもの。
このように、潔癖な人は田舎暮らしを楽しめません。
特徴② 神経質・完璧主義・こだわりが強い
子育てにもこだわりが色々あると思います。
テレビはなるべく見せたくない。
安全な野菜を食べさせたい。
こうした「○○でなければならない」というこだわりは、自然とともに暮らしていく上では自分を苦しめます。
子育てはただでさえ思い通りにならないことばかり。
勝手に熱は出すし、勝手にケガして帰ってくるし、知らない間に乱暴な言葉を覚えてくるし、言うことは聞かないし、野菜は食べてくれないし・・・
そこへ来て、自然はそれを輪をかけて思い通りになりません。
台風で屋根瓦が吹っ飛んだり、川の増水で床上浸水したり、でかいガが家の中に入ってきたり・・・
野菜づくりは都会でも人気のようですが、田舎で野菜を作るといとも簡単に枯れます。
・台風で吹っ飛ぶ
・大雨に打たれる
・洪水で浸かる
・シカに食べられる
・害虫に食べられる
・植物病に感染する
・肥料のやりすぎ
・急な気温の変動
ざっと並べただけでも枯れる要因はこんなにいっぱい。
そもそも農業は立派な職業です。スーパーに並んでいる形の揃った野菜はどれもプロが作ったもの。素人が最初からうまくいくわけがありません。
なのに「本のとおりにやったのに野菜が育たないなんておかしい」なんて思ってしまうと徒労感とストレスがたまるばかり。
逆に田舎を楽しめる人は「思ったとおりにならなかったけど、まあいっか。そんなもんでしょ」とあまり気にせず次に行きます。
そのうち野菜も上手に作れるようになります。
人間関係も同じです。
何かとおせっかいな近所のおばちゃんに対して、
「そんなこと頼んでないのに勝手にやられた」
と思うのか、
「親切でやってくれてありがたいことだ」
と思うのかでは、気分がまるで違います。
子供も、自然も、他人も、思い通りにならないもの。
想定外は起こって当たり前。
そんなときに腹を立てるか、それとも順応できるかによって、生活の満足感に雲泥の差が出ます。
虫が嫌い
蛾が家の中に入ってきただけで「キャーッ!」て悲鳴上げるお母さん、いますよね。
こんな人も田舎暮らしは向いてません。
言うまでもなく田舎は虫がどっさり。
当たり前ですが山にいるのはカブトムシだけではありません。害虫もてんこもりにいます。
ムカデ、クモ、ゴキブリ、アリ、ハチ、ハエ、カ、ダニ・・・
田舎のクモはデカイです。女性の手のひらぐらいあります。
しかもゴキブリ並に俊敏。走るとさわさわと音がします。ガスコンロの上を走ると脚と金属がぶつかってカチカチいうんです。僕は走るクモが苦手なのであれは恐怖でした。
しかし田舎のオカンたちは慣れたもので、顔色一つ変えずにハエたたきで仕留めてティッシュにくるんでゴミ箱にポイ。
古民家や山のふもとに住んでいるなら害虫との戦いは避けて通れません。
そのため虫嫌いの人はたとえ家の中にいても心が休まらない日々を過ごすことになります。
それに親が怖がってると子供も怖がるようになっちゃうんですよね。
虫嫌い、田舎ダメ、ゼッタイ。
人に合わせるのが苦手
田舎の人は良くも悪くも同質的。
同じ思考回路を持ち、同じパターンで行動します。考え方にあまりバラエティがありません。
そんな場所では、溶け込める人とそうでない人が分かれます。
周りの雰囲気にあわせてやっていけるか?
たとえ自分が正しいと思っても飲み込めるか?
異質な存在を異質なまま受け入れるのはハードルが高いので、受け入れてもらうにはこちらから主義主張を曲げて歩み寄っていく必要があります。
また、田舎は人が少ないので、人間関係を自分で選べません。
東京のようにプライベートは気の合う人とだけ過ごすというのは不可能で、近所のおばちゃんはおしゃべりしたがるし、逃げ回るのにも限度があります。
中には消防団や溝掃除などの出役がある地域もあります。
行政の手の届かない範囲を自分たちでカバーするための仕組みですが、これも「税金払ってるんだから行政がやってよ」という態度でいると非協力的な人というレッテルを貼られてしまいます。
「気の合わない人と話すなんて時間の無駄」と思っている人は、田舎の人付き合いにはイライラさせられることでしょう。
逆にうまく人付き合いができれば、仲良くなった近所のおばちゃんに子供を預けて外出することもできます。
地域で子育て
最近の田舎では「地域で子育て」という言葉を耳にすることがあります。
昔は当たり前のようにあった、ご近所みんなで子供を見守るという形。
親の目につかないところで子供を遊ばせても誰かが見ていてくれる。
子供が良くないことをしても誰かが注意してくれる。
そうやって、親だけでなく暖かいコミュニティの中で子供を育てていこう、という趣旨ですが、これも他人を信用することが前提の話です。
「あの人は余計な遊びを教えるかもしれない」
「あの人は子供に何を食べさせるかわからない」
そんな疑いの目で見てしまうと、警戒心ばかり強くなって消耗します。
それでも田舎暮らししたい人は地方都市に住もう
潔癖、神経質、虫が嫌い、人付き合いが苦手・・・
それでも子供を自然豊かな環境で育てたい!
何か方法はありませんか先生?
っていうワガママな人には、地方都市をオススメします。
田舎暮らしに向いてない人の特徴を挙げてきましたが、これはあくまで「玄関を開けたらすぐ田んぼ」レベルのド田舎の話。
地方都市なら、生活圏内で自然の豊かさは感じられないかもしれませんが、まだ都会とあまり変わらない感覚で生活できます。
私の住んでる和歌山県なら和歌山市や海南市ですね。
こういうところだとご近所付き合いもないし、溝掃除もありません。
それでいて車で15分も走れば自然豊かな風景に出会えます。
地方都市を見分ける目安は人口です。10ー30万人ぐらいのところを選んでください。
そしてなるべく街の中心部で、マンションの高層階に住んでください。蚊以外の害虫は避けられます。
それでもド田舎に興味があるなら、そこから足を伸ばしたっていいわけですし。
まとめ
まとめると、田舎で子育てするのに向いている人は、多少うまくいかないことがあっても「まあいっか」と思える人です。
向いてない人は、無理にストレスのたまる田舎暮らしを志すのではなく、快適な都会生活を目指しましょう。
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