農産物直売所と聞いて、あなたはどんなイメージを浮かべますか?
「とれたてで新鮮の野菜がたくさん! スーパーで買うより安くてオトクだし、見かけたらつい寄っちゃうよね~」
というところでしょうか。
いいイメージだけが先行しがちな農産物直売所ですが、実は直売所ならではのデメリットもあります。
メリットとデメリット、両方を知った上で、よりオトクに買い物ができれば直売所上級者です。
そこで、以下、農産物直売所のメリットとデメリットを順に解説していきます。
農産物直売所のメリット
「とれたてで新鮮の野菜がたくさん! スーパーで買うより安くてオトクだし、見かけたらつい寄っちゃうよね?」
これは実際、正しい認識です。
とれたてで新鮮
生産者が直接納品するので、収穫してからお客さんの目に触れるまでの時間が短いです。だから新鮮。
安くてオトク
生産者が直接納品するので、流通コストや市場のマージンがありません。そのためスーパーより安くなります。
その理由は、以下のように比較するとわかりやすいでしょうか。
通常ルート:
生産者→市場(→別の市場→また別の市場)→スーパー→消費者
直売所:
生産者→直売所→消費者
ルートの長さが違うんですね。そのため上記のようなメリットが享受できるというわけです。
農産物直売所のデメリット
農産物直売所と聞くと、メリットの項目で挙げたようないいイメージが先行しがちですが、そればかりではありません。
デメリットは一言で言うと「玉石混交」です。
同じ野菜でも、品質がいいものとそうでないものが混ざっています。上と下のレベルの違いはスーパーなどに比べてかなり激しいです。
そのため、期待して入店してみたら「ショボい野菜しか残ってなかった…」とガッカリして何も買わずに帰ることもあります。他にも、
「おいおい、これ売りに出せるレベルじゃねーだろ」
というものや、
「このずっしりした立派なキャベツと隣のちっちゃいスカスカのキャベツが同じ値段!? おかしくね!?」
ということがしょっちゅうあります。
さて、なぜこんなことが起こるのでしょうか。
農産物直売所は誰でも出品できる
そうなんです。
農産物直売所は、出品者の制限を設けていないのがふつうです。
そのため、プロ農家、アマ農家、果ては家庭菜園レベルの人まで様々な人たちが出品しています。
また、誰が何を出品するか、そして値段をいくらにするかといったところも含めて、基本的にすべて出品者に任されています。
いかにもクレームがつきそうな不良品は別として、多少、いや、かなり見た目がショボくても、出品自体は問題なくできてしまいます。
お客さんに買ってもらえなければ売れ残るだけで、本人は廃棄ロスがありますが、直売所はいくら余ろうが損しませんからね。
なお参考までに、直売所の収入は出品手数料です。モノを買い取るケースもありますが、野菜だとだいたいは売れたときに販売代金の10~20%を手数料として取ります。場所貸しをしているようなものですね。
「並べるだけなら料金はかからないけど、売れたらお金ちょうだいね、売れ残っても責任持たないよ」
という感じです。
そのため、一人でも多くの人にたくさん並べてもらった方がトクだというわけです。
多くの農産物直売所は、プロ農家でないと出品できないといったルールもなければ、品質に関する厳しいルールもありません。
だから近所のオッチャンが「家で食べる用の野菜作ったけど、余ったから持ってきたわ」といって出品するケースはよくあります。
お客様にサービスを提供して対価をもらうという考えは商売の基本ですが、プロ農家でもない人が、まして余ったから持ってきたというような人が、このような意識で望んでいるとは到底考えられません。
それに、オッチャンはたとえ出品したものが全然売れなくても、そんなに困らないんですね。なぜならもともと余ったものだから。「売れたらラッキー、小遣いの足しになるなあ」ぐらいのもんです。
当然、そんな素人に毛の生えたような人とプロ農家の作ったものでは、品質は雲泥の差です。
なお、スーパーだとこんなことにはなりません。
スーパーにはバイヤーがいて、当たり前ですがバイヤーはきちんと品定めをしてから仕入れてきます。
そのため、点数で例えるなら60点以下のものは店頭に並びません(あまりひどいものを仕入れると店の評判やバイヤー個人の評価にも響きますからね)。
つまりバイヤーによるフィルターがあるのです。
農産物直売所だとバイヤーの目がありません。
そのため20点や30点の商品が平気で店頭に並ぶというわけです。
プロ農家はあまり農産物直売所を使わない
そうなんです。
プロ農家はあまり農産物直売所を使わないんです。
(すべてのプロ農家に当てはまるわけではありません。農産物直売所を主戦場にしているプロ農家ももちろんいます)
主な理由は、キャパシティの問題です。
直売所はいわば共用スペースなので、一人が並べられる量には限度があります。
プロ農家は一つの野菜をまとまった量作るのがふつうですが、例えば今日の収穫がキュウリ30kgだったとして、30kgすべて直売所に並べられるかというと、できないところがほとんどです。
「あんたがたくさん置いたら他の人が置けなくなっちゃうよ!」
というわけです。
プロ農家だからといってスペースを優遇してくれるわけではありません。
そのため、プロ農家の多くは、まず普段の取引先にいいものを卸して、そのあとで余ったものを直売所に出品します。
ということは、直売所に並べるのは、取引先のお眼鏡に叶わなかったもの、すなわち(プロからすると)レベルの低いもの、ということになります。
(注:とはいえプロが作ったものなので、アマが作ったものより品質がいいことに変わりはありません)
大きな儲けは期待できないけど、捨ててしまうくらいなら少しでも収入の足しに、という考えです。
そのため農産物直売所の出品者の大部分はアマチュアです。
また、プロが直売所を主戦場にしないもうひとつの理由として、時間と手間のロスがあります。
取引先に卸すときは、大きな段ボール箱に入れて、相手のお店にドカッと置いてくればいいだけです。
ところが直売所に並べるには、野菜を小分けにして、自分でバーコードを発行して、一つ一つ貼って、自分で並べなければいけません。
これが地味に面倒です。この一連の作業をやる時間があれば、取引先をもう1~2件回れます。
しかもその場で買い取りならまだしも、売れ残ったら損は自分がかぶらないといけません。それならどこかのお店と契約して、まとまった量を売る方を選ぶというわけです。
プロにとっては効率が悪いんですね。
そのため、農産物直売所のプロ農家率は意外に少ないです。
農産物直売所で賢いお買い物をするコツ
農産物直売所はスーパーと違い、買い物の腕が試される場所です
スーパーなら、売り物の品質はある程度一定で、見た目でのハズレはほとんどありません。
しかし、農産物直売所は素人でも出品できてしまうため、「これ、並べてもいいの? クレーム来ないの?」と思うような野菜がよく見つかります。
そのため、いいものをゲットするにはちょっとしたコツが必要になります。
常連であれば、誰もが心得ている2つのポイントがあります。これらを押さえれば、農産物直売所でハズレを掴むことは少なくなるでしょう。
以下、順に解説していきます。
①開店直後に行く
最重要ポイントはなんといってもコレです。
なぜなら在庫がもっとも豊富なのは開店直後だからです。
スーパーの場合、商品陳列は社員がやりますが、直売所は出品者が直接並べます。
出品者は一度並べたら帰ってしまいます。売り場に張り付いているわけではありません。
そのため、商品が残り少なくなっても、品切れになっても、すぐに補充されません。
いくらバカ売れしようと、品切れになったらそれっきりなんですね。
(品切れの連絡を受けて再度出品しにくる出品者もいますが、多くはそのままです)
当然いいものほど先に売れていきますし、残念なものは最後まで残ります。
つまり早いもの勝ちです。
常連はそのことをよくわかっているので、どこの農産物直売所でも、勝負どころは朝一番です。
②生産者(出品者)の名前を覚える
このやり方は通うのが前提です。フラッと立ち寄っただけならこのやり方は使えません。
農産物直売所の特徴の一つとして、生産者の名前が商品に明記されているというものがあります。
農産物直売所はアマチュアでも出品できてしまうため、上と下のレベルの違いが激しいです。
そのため常連の買い物客は、
・いい生産者は誰か
・その生産者はどの場所に出品しているか
を把握していて、店に入るとまっさきにそちらに向かいます。
この2点を意識していれば、新鮮で、安く、なおかつ高品質な野菜がゲットできることでしょう。
目指せ直売所マスター!
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