田舎の何気ない店がなかなか潰れない理由

「おっ、新しい店できてる」

都会にいると、よくこんなことがありますね。

飲食店、服屋、コンビニ、とにかくよく入れ替わります。おかげで常に新しいものが生まれてきて飽きません。

ところが田舎は違います。

田舎になればなるほど、昔ながらの喫茶店や飲み屋さんがいつまでも生き残っていたりします。生き残るためにあれこれ工夫を凝らしているならわかりますが、どうもそういうふうには見えません。

例えば喫茶店。

・内装を何十年も変えていない
・メニューも何十年も変えていない
・味付けも変わっていない
・珍しい目玉メニューがあるわけでもない
・インスタ映えスポットもない
・支払いは現金だけ
・HPも持っていない
・facebookもやっていない
・twitterもやっていない
・携帯はガラケー
・LINEなんか知らない
・メール?ちょっとわからんわぁ
・インターネット?もうそういうのはやめとくわぁ…
・FAXでなんとかならんのかね

っていうね。

もう…

もう……

今どきなんでそんな店が生き残っていけるの!?

って店が割と田舎にはゴロゴロしてます。

この変化の激しい時代に、まったく変化せずに生き残っている。都会の人からするとナゾの存在にしか見えないと思います。

しかし、生き残っているのにはそれなりの理由があるのです。大きく3点。順に解説していきます。

①新しいお店が進出してこない

田舎はただでさえ人が少ないため、企業側にとって進出する旨みがありません。

特にチェーン店なんかはどこも出店場所を決めるときのノウハウを持っていて、

・通行人が1日○人以上いる
・車が1日○台通る
・お店の周囲1km以内に○人以上住んでいる

…といった基準があり、これが田舎になればなるほど満たされなくなります。

出店場所を探している人からすると、

「こんなところに店を出しても儲からねーわ」

となるんですね。

コンビニはけっこうがんばって過疎の町にも出店してくれますが、飲食店はけっこうシビアです。

統計をとったわけではないのであくまで印象ですが、町の人口が二万人を切ると飲食店のチェーン店がなくなり、二千人を切るとコンビニがなくなるイメージですね。

ということで、理由その①は「新規参入が少ないから」でした。

②常連が強い

①で解説したお話で、疑問に思うところはありませんでしたか?

新しいお店を出すときに「ここに出店してやっていけるのか」と考えるのは、なにも大手に限った話ではありません。個人の小さなお店だってまったく同じです。

そんな小さなお店さえ出店してこない。

裏を返せば、今も生き残っている田舎のお店は、今どき出店を考えている人なら「ここに出店しても商売を続けていけない」と判断した立地で、商売を成立させていることになります。

なぜ?

答えを先に言ってしまいましょう。

正解は「強いリピーターがいるから」です。

田舎のお店は常連(リピーター)が命です。

なにしろ人が少ないし、新規客の流入も見込めないので、常連に足繁く通ってもらう他に生き残るすべがありません。

いわゆる行きつけの店、馴染みの店というやつです。

田舎の人は、いったん行きつけにした店を簡単に変えたりはしません。

その理由は、味やサービスがどうこうというより、人に会いに行っているからです。

田舎のお店は総じて愛想がよく、特に常連に対する関係は、サービスを提供する側とされる側というより、まるで仲のいいご近所さんのようです。

「〇〇さんとこの娘が結婚したんだって」
「へぇそうなの。どこの人?」
「商社の人って聞いたよ」
「いいとこの人捕まえたなー」

というふうに。

人付き合いが仕事もプライベートも地続きになっている感じです。

参考:ド田舎のプライバシー感覚 オンとオフの話

そのため、違う店に行くということは、学生に例えると「普段遊んでいる仲のいい友達の誘いを断って、転校生と遊びにいく」ような居心地の悪さを感じるというわけです。

(逆に、無愛想だけど流行っている、というお店がたまにありますが、それは本当に美味しいお店です)

中でも業者間の付き合いは大事で、その店に商品を卸していたり、内装を手がけたりしていると、「食事するなら△△店にしないと」となりがちです。

また、業者自身はもとよりその家族や親戚にも「食べるなら△△店に行ってあげて」とお願いすることもあります。

これは田舎の悪いところですが、違う店に行くと「きのう〇〇内装の奥さんが□□店に来てたよ」という噂が立ち、それが回り回って△△店のご主人の耳に入ったりしてお互い気まずい思いをすることがあります。

別にどこで食べようが勝手でしょ、と言える人なら怖くありませんが、田舎だとこんなところにも気を遣うんです。

ということで、理由その②は「客が固定化しやすいから」でした。

③競争を避ける傾向がある

田舎では競争が少ないばかりか、競争そのものがない場合もあります。

たとえば談合は普通にあります。
談合といえば、工事などの入札の落札者が、譲ってもらった競争相手にお金を渡すというものですが、田舎の談合はお金を渡したりするわけではなく、純粋な譲り合いです。「前回はうちが取ったから次はあんたのとこね」という感じ。

毎回本気で入札していたら田舎の業者はもちません。ライバルとはいえお互い協力してみんなで生き残っていこうという考え方なので、本気でライバルを押しのけてシェアを拡大していこうとする業者はあまりいません。

水道工事やガスなど、縄張り化しやすいものは特にその傾向が顕著です。業者ごとに縄張りが決まっていて、そこで縄張り外の業者にお願いをすると「この区域は〇〇さんのところだからうちは手を出さない」と普通に断られます。

「田舎は持ちつ持たれつで成り立っている」とはよく言われますが、競争関係にある同業者間でもそれが起こっているのです。そのため淘汰が起こりにくい環境になっています。

まとめ

田舎の店が潰れない理由は、

①新規参入が少ない
②客が固定化しやすい
③競争を避ける傾向がある
の3点でした。

もし新しく店を出すのであれば、最初からお客として来てくれそうな人脈をすでに持っているか、提供するサービスに相当の自信があるかのどちらかでないと厳しいでしょう。

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