田舎で働くと年収はどれくらい?
そんな疑問をお持ちのみなさまこんにちは。
いくら興味があっても「あなたの年収どれくらい?」と正面切ってはなかなか聞けないもの。
かといって巷で公表されている平均年収を鵜呑みにしてしまうと危険です。
「なんだ、平均400万もあるじゃん。十分生活できるな」
なんて気軽に考えて、移住してから気づく低所得の実態・・・。
平均という言葉でくくってしまうとあまりに実態が見えなくなってしまいます。
移住して、また転職して「こんなはずじゃなかった・・・」とならないためにも、ここでは私が実際に見聞きしたことも含めて田舎の収入の実態を解説していきます。
それではどうぞ。
田舎では年収は200万を切ることを覚悟しよう
これから田舎暮らしをしようと思っている人は、年収は200万を切ることは覚悟してください。
またすでに田舎に住んでいるけど、自分の給料が低くて「これって相場なの?買い叩かれてない?」と疑問を抱いている人、残念ながらそれはふつうです。
都道府県別年収に騙されるな
たとえばDODAの公表している都道府県別年収(2014)を見ると、私の住む和歌山県だと383万円。
なんだけっこうもらってるじゃんと思うかもしれませんが、これは実態を反映していません。なぜならDODAの調査は正社員に限っているからです。
では、和歌山県全体の平均所得はいくらでしょう?
和歌山県が公表している2015年の県民所得は273.8万円。
はい、めちゃくちゃ下がりました。
正社員でないバイトや自営業の人が加わると平均が100万円以上も下がるんですね。
さらに同じ和歌山県でも町によって実態は異なります。
総務省が公表している課税対象所得(2013)を見てみると、
和歌山県で一番多いのは和歌山市で316.4万円。
一番少ないのは古座川町で231.9万円。
同じ県内で85万円もの差があります。
そりゃあ人口が35万人もいて大阪に近い和歌山市と、人口数千人で大阪からも名古屋からも遠い古座川町では経済条件がまるで違います。
さらに。
平均はあくまで平均であって、正社員や公務員などの比較的年収の高い人たちも含まれています。
ということは、アルバイトやパートなど、いわゆる非正規雇用と言われる人たちや、自営業の人たちの平均はもっと下なんですね。
実際、私のまわりでも年収が200万円を切っている人は珍しくもなんともありません。
なぜ田舎は年収が少ないのか
田舎レベルが高くなればなるほど平均年収は減っていきます。
大きな会社がない。
パイが小さい。
都会に通えない。
そんなガチの田舎だと年収は本当に低いです。
フルタイムで働いて手取りが10万ちょいとかふつうにあります。
ちなみに2018年の最低賃金は大阪府が936円、和歌山県が803円です。
大阪の隣なのに、県をまたいだだけで100円以上もダウンするわけです。
公務員の知人から聞いた話をします。
彼は専業主婦の奥さんと二人の子供の四人家族。
あるとき「共働きじゃないとキツイ」とポロッと漏らしたところ、それを聞いていた自営業の人にマジギレされたそうです。
いわく「公務員みたいな高給取りで生活苦しいとかふざけんな。なにゼイタク言ってんだ」という内容の説教を30分延々されたと。
ちなみにその知人の年収は350万ぐらいですが、この件をきっかけに生活キツイ系の話題を口にするのはやめたとのこと。
それだけ所得の低い人ばかりなわけです。
田舎で働いている人の生の声
以下に挙げるのは私が実際に見聞きした生の声です。
なお特定されない範囲でぼかしてます。
正社員のAさん
Aさんは30代半ばの男性。
ホテルに勤務して8年目で、月の手取りは14万円程度。
残業が毎月60時間ぐらいあり、それでようやく手取りが20万円になる。
中抜けシフト(7-11時と16-20時の勤務で、11-16時が昼休み)がふつうで、拘束時間も長いため、割に合わないと感じて別の仕事を探している。
解説
田舎は給料の上げ幅が少ないです。
昇給ゼロはさすがにあまり聞きませんが、上げ幅が月3000円とかザラです。
そのため定年間際でも手取りが20万を切るなんて人もよく聞きます。
パート勤めのBさん
Bさんは50代の女性。
清掃員として雇われ、病院などの清掃をしている。
4年間勤務しているが、働きに応じて時給が上がったことはない。
時給が上がるのは最低賃金が改正されたときだけ。
今の時給は810円(最低賃金803円)。その前は780円(最低賃金777円)だった。
仕事は嫌ではないので、この先も続けるつもりでいる。
解説
ガチの田舎の時給はどこも最低賃金ギリギリです。
最低賃金が803円だったら募集賃金は810円ばっかりです。
たまに最低賃金とイコールの803円で募集しているところもあります。
パートに金を払いたくないという態度が透けて見えますね。
農業をやっているCさん
Cさんは30代半ばの男性。
農業を始めて5年になるが、所得が50万円を超えたことはない。
毎年、計画では150万円ほどの所得が上がる見込みだが、植物病や獣害、気温の変動などで思うように作物が育たず、計画を達成できたことはない。
食べ物を作っているおかげで食うことはなんとかできているものの、今の状態ではジリ貧なので、農業をやめようか悩んでいる。
解説
田舎の人の農業所得の低さはヤバイです。
50万切ってたり下手するとマイナスだったりで「あんたどうやって生活してるの?」って人も珍しくありません。
のんきな人だと「農業所得で税金を払う(38万円を超える)のが目標」なんて人もいます(笑)
農業所得で200万いってたら相当優秀です。
田舎の金持ちってどんな人?
田舎では豪邸と高級車を所有しているようなわかりやすい金持ちはみんなそれなりに歴史ある地元の名士ばかりです。
中でも建設業の社長が多いイメージです。
あとは不動産持ちですね。賃貸マンションなど。
どちらもハード設備を必要とする点で、新規参入はハードルが高く現実的ではありません。
田舎で年収を上げる方法
田舎レベルがそこそこ高いところでは、雇用で高給をもらうのはそもそも無理があります。
雇用だとせいぜい300万円。400万円あればかなりがんばっている会社だといえるでしょう。
そのため、同じ町なら転職しても収入アップはそれほど見込めません。
かといって経験もない状態でいきなり会社を辞めて起業するのはリスクが高すぎます。
となると、収入を上げるための現実的な方向性は副業です。
会社勤めで安定的な給与収入を得つつ副業を始め、副業の収入を徐々に大きくしていく。
そして副業収入が本業レベルになってきたら、切り替える。
土地もない、お金もない、身一つの凡人ができるもっとも現実的な方法です。
それに関して過去にこんな記事も書いているのでよければどうぞ。
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お手軽な起業を目指そう
起業と副業はまったく別物のように思われがちですが、実は地続きでもあります。
都会で起業というと、法人登記してオフィスを借りて当座の運転資金を何百万円か集めて・・・といったご大層なイメージがあります。
会社を立ち上げたら、一日目からビシッとしたスーツを着て、名刺には「代表取締役社長」。
でも、起業は必ずしもそんなご大層なものとは限りません。
ほとんど元手をかけず、借金もせず、わずかな自己資金だけで始める起業だってあるのです。
たとえば猟師。
猟師は農業害獣であるイノシシやシカを狩って行政からお金をもらう仕事です。
猟師を始めるためには、20~30万円あれば十分です。銃を使わないなら10万もいりません。
これならオフィスもスーツも名刺も必要ありませんし、土日だけでも始められます。
慣れてくると副業で月数万円程度は可能です。
このように、田舎で起業するのはあまりハードルの高いことではないので、ローリスクで始めてダメだったらさっとやめるスタンスでいけばいいでしょう。
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