「農業って野菜を作ることでしょ?」
詳しくない人はそう言います。
完全な間違いではありませんが、これだと部分点といったところ。
農業を正しく理解してもらうには、2つの点で認識を改めてもらう必要があります。
農業というとおじいちゃんが畑でクワを振るっていたり、デカイ機械に乗っておコメを収穫する姿が思い浮かびますが、これだけではないんですね。
牛やニワトリを飼うのも農業です。
ミツバチを飼ってハチミツを作るのも農業です。
自分で農地を持たずに、大きい農業機械で作業委託を請け負う専門の人もいます。これも農業です。
農業をやろうとするなら、「何を作りたいのか」というのももちろん大事ですが、「何をやったら食っていけるのか」のほうがより重要です。
そのためには「農業」と「農作業」の違いを理解しておかなければなりません。
「農業」と「農作業」の違い
農業を始めようとするなら、この違いは必ず意識しておかなければなりません。
野菜を作るのは「農業」のうちの一部「農作業」です。
農業をやるということは、小さな会社を立ち上げるのと同じです。
例えば営業。
野菜を作ったら売らなければいけません。どこに売るか? 農協や市場に卸す? それとも飲食店? より高く買ってくれるところはないか?
野菜を作ったら売らなければいけません。どこに売るか? 農協や市場に卸す? それとも飲食店? より高く買ってくれるところはないか?
例えばマーケティング。
何を作ったらより稼げるか? 周辺では何が必要とされていて何が足りないか?
何を作ったらより稼げるか? 周辺では何が必要とされていて何が足りないか?
例えば経理。
今の収益計画だと設備投資にいくらかけられるか? この部門は黒字なのか? それとも赤字なのか?
今の収益計画だと設備投資にいくらかけられるか? この部門は黒字なのか? それとも赤字なのか?
わかりますか?
農業を始めるということは、単なる農作業者ではなく、経営者になるということです。漫然と農作業だけをやっている人で、まともに稼いでいる人を私は知りません。
農業で稼ごうと志すなら、社長になったつもりでがんばってください。
参考:農業は稼げる?稼げない?
勉強は必要。だが教科書どおりにはいかない
作物を作るのはサイエンスです。いくら気持ちがこもっていたって、正しい手法を知らなければうまく育てることはできません。
作物が育つ過程で、どうやって養分を吸収して、どうやって大きくなっていくのか。そのためにどんな土がいいのか。肥料は何をどれくらいの量、どのタイミングでやればいいのか。
これは単なる知識なので、勉強すれば誰でも身につけられます。ここをすっ飛ばしていきなり作業に入るのは、素人のやることです。
繰り返しますが、家庭菜園ならそれでもいいんです。プロになろうとするなら、勉強を飛ばしてはいけません。
しかしなにごとも教科書どおりにいくかというと、当然そんなことはありません。
天候や害虫の発生など不確定要素が多く、自分でカバーできる範囲には限界があります。
また農業はトライ&エラーのスパンが長いです。作物を植えてから収穫までは早くても一ヶ月、長いと半年くらいかかります。また日本には四季があります。1年のうちにトライできる回数はおのずと限られてきます。
温度調整したビニールハウスで年中作り続けるやり方もあります。でも空調代がものすごくかかるので、小規模農家はふつう手を出しません。
まとめ
「なんとなく農業やってみたい」ぐらいなら、悪いことは言いません。家庭菜園で止めておきましょう。趣味でやりたい場合は、特に何も考えなくても始められます。ちょっとやそっと失敗したって家計に大ダメージを与えるわけじゃありません。
でも商売として始める場合は違います。それで食っていこうとするなら、しっかり「当てる」つもりで臨まなければいけません。
繰り返します。
農業を始めるということは小さな会社の社長になるということであり、経営を始めるということです。
コメント