田舎の公務員ってぶっちゃけどうなの?現役公務員に聞いてみた!

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田舎で公務員というと安定職業の代表格のようなイメージがあります。毎月の給料に加えてボーナスまで安定してもらえ、仕事は定時帰り、しかもなんだかラクそう…
こんなイメージは果たして正しいのか?
現役で田舎で働いている公務員に聞いた内容をまとめました。
残業の量は総じて少ないです。ざっくりのイメージで定時から1時間以内に帰る人が8割、1?2時間以内に帰る人が1.5割、残りの0.5割が遅くまで残っているといった感じです。
部署にもよりますが、年中遅くまで残っている人は激務のためというより要領が悪くて時間がかかっている人が多いです。

残業代が出るかどうかは上司によります。部下に目を配ってくれている上司だと出やすいですが、そうでない上司だと自分から申告しない限り支給されません。

まずは上記リンクをご覧ください。市町村職員の年収がずらっと並んでいます。下は300万円台から上は700万円台まで、平均するとだいたい550万円といったところです。同じ公務員でこれだけ差がつくのは、①都会と田舎の生活水準の差(同じ水準の生活をするためには都会の方がお金が必要)②公立病院の医師や看護師といった一部の高給職を含んでいるか、という違いです。

上に行くほど「市」が多く、下に行くほど「村」が多くなります。村は給与水準が低いこともありますが、公立病院がないため、医師の給料が計算に入りません。ちなみに田舎だと新米医師でも年収1,000万円は越えます。事務職(一般行政職)の平均はもっと下です。

田舎の公務員、かつ事務職であれば、平均はおそらく400~450万程度です。新卒で200万円台、一番上の課長などで600万円台といったところです。

 

住民からのクレーム

クレームがゼロの町はありませんが、量は田舎のほうが少ないです。田舎のお年寄りは温和な人が多いのに加えて、今後の関係を考えてしまうと無茶なクレームがつけにくいという田舎特有の事情もあります。
たまに「それ市役所に言うこと?」というクレームもあります。困ったらとりあえず市役所に電話してみる、という雰囲気があるのは否めません。
「うちの軒下にアナグマが入ったから追い出してくれ」とか。
「親の介護ばかりで私は結婚もできずに幸せになれないじゃないの」とか。

 

地方公務員はオススメ?

安定しているという点ではいいですが、不安要素もいくつかあります。
部署によって業務内容がまったく異なるため、異動するとこれまでのノウハウがまったく使えなくなります。異動は平均して3年に一度くらい。そのたびにまるっと業務内容を一から覚えなおしです。
たとえば税務課と観光課では要求される能力は180度違います。

例:税務課の仕事

税務課では法律に従って決められた業務を粛々とこなすことが求められます。個人の裁量が入り込む余地はほとんどありません。ミスを少なくして、与えられた業務を100点でこなすことが目標です。評価も減点法です。

 

たとえば税金滞納者への対応は軽い支払い催告から最後の財産の差し押さえまで手順が決まっています。効率がいいからといって最初にいきなり差し押さえをすることはできません。必ず決められた手順通りに実行していきます。

逆に考えれば、法律どおりにやっている限り100%自分たちが正しいわけです。訴えられて裁判になっても100%勝てる。法律の後ろ盾がある。そういう意味での安心感はあります。
しかし違った手順でやってしまうと100%でなくなってしまいます。ただでさえクレームの多い部署なので、仕事は万全でなければならない。法令・マニュアル遵守の精神は欠かせないのです。

 

例:観光課の仕事

観光課は攻めの部署ですから裁量がモノを言います。求められるのは企画立案やマニュアルのない場面での段取り力です。評価は加点法です。
たとえば新しい観光の目玉施策を考えなければならないとします。誰をターゲットにするのか、売り込むモノはどれをチョイスしてどう見せるのか。どんな手段で広報するのか。どこの法律やマニュアルを読んだってそんなこと書いていません。答えは自分たちで出すしかないのです。
一方に慣れた人がもう一方に異動するとたいてい戸惑います。これまで培ってきたノウハウが全く活かせないからです。

 

公務員のスキルは民間に適用できない

公務員のノウハウは民間で活かせないものがほとんどです。何らかの理由で公務員を辞めることになった場合、役に立つスキルを持っていない自分を民間で誰か拾ってくれるのか?という不安はあります。
面接で「あなたを雇うことで当社にどんなメリットがありますか?」と聞かれても、答える材料がないのです。
「でも、そんな場面はやってこないでしょ?公務員はクビにならないし定年まで安定して給料もらえるんでしょ?安泰じゃん」

そう思うでしょう?
ところがそうとは限らないのです…。

 

公務員は将来安泰とは限らない

公務員は安泰か。
一昔前なら誰に聞いても答えはイエスだったでしょう。しかし今は違います。答えは「自治体によります」です。
安泰な自治体とそうでない自治体の見分け方は財政力です。

あまりに借金が重なると、会社で言うと倒産にあたる財政再建団体になってしまいます。そう、役所も倒産することがあるのです。

財政破綻した夕張市の例

実際に財政再建団体になってしまった自治体があります。夕張メロンで有名な、北海道夕張市です。

関連リンク:北海道夕張市HP

夕張市は増え続ける借金を隠し続けて、それが明るみに出た頃にはもう手の打ちようがない状態になっていました。破
綻したのは2007年のことです。
その後、市は膨大な借金を返していくため、とにかく収入を増やして出費を抑えようとします。
その結果、市民税や軽自動車税、水道代などが高くなる一方で、集会所や公衆トイレは次々に閉鎖され、小中学校はそれぞれ一つに統合されるなど住民へのサービスが低下し、一番高くて一番サービスが悪い自治体になってしまいます。
そして公務員はというと、
・給料は平均4割カット
・職員数の大幅減による業務量の増大
・空調が夕方5時で切られるため冬の夜は氷点下の中で残業
といった劣悪な環境に追い込まれました。
待遇の悪さもさることながら「未来に希望が持てない」と言い残して辞めていく職員があとをたちませんでした。ノウハウを持った中堅職員が辞めることでさらに業務効率が落ち、残された職員の残業が増えるという悪循環に陥っています。

 

公務員で安定したいなら財政状況をチェックすること

さて、これで破綻した自治体には悲惨な末路が待っていることがわかりました。
他の自治体も、今すぐというわけではありませんが、こういう事態に突入してしまう可能性はあります。どこの町も人口が減って(=税収が減って)いますが、それに合わせて住民サービスを減らすことができず、収入は減るのに支出はそのままという状態です。
特に貯えがあまりない町が市役所や病院など大きい公共施設を建て替えするとそれだけで急にピンチになります。財布の事情でやめるべきだとわかっていても、ときの市長によっては強行することもままあります。そして市長は4年の任期が終わると去っていく…。ツケは後の世代が払うのです。
さて。
給料が4割減で、なおかつ仕事量が倍増するとしたら、それでも公務員を続けるか。

田舎で公務員になろうとしているなら、試験を受ける前に資金繰りはチェックするべきです。

 

本当に財政が安定している自治体は?

 

では破綻の心配がない自治体はないのかというと、あります。
(100%安全という意味ではなく、当面の10?20年ぐらいは心配はないという意味でとらえてください)
それは「不交付団体」です。

 

不交付団体とは

ほとんどどこの自治体でも、その町単独の税収だけでは収入が足りず、国にお金をもらっています。このお金を地方交付税といいます。
しかし、中には地方交付税をまったくもらわないで、自分の稼ぎだけでやっていける自治体があります。これが不交付団体です。

 

不交付団体はどの町?

 

不交付団体になっている町を見ていくと、大きく以下の2パターンがあります。
①大都市・大きな産業のある町
②発電所(特に原発)のある町
①大都市・大きな産業のある町は住民も会社も多いため、たくさん税収があります。単純に収入が多いから独立採算でやっていけるのです。
対して②発電所のある町は、これも単純に発電所のもたらす収入が多いのに加えて、特に原発のある町は国から迷惑料を毎年ごっそりもらっています。はっきりいって相当リッチです。すぐに財政破綻することは考えられません。
どちらも収入は安定していて当面安泰ですが、ラクではありません。お金がたくさんあるということは、やれることもやることもたくさんあるということ。そのため町おこしがさかんだったりして、田舎の割に求められるレベルは高かったりします。
しかし東日本大震災の福島原発事故を見ると、原発のある自治体がオススメですよ、とはとても言えないところです。
ラクをしたいのであればさびれた町を狙ったほうがいいです。ただし町が永続するかどうかは不透明で、定年まで安定して給料がもらえる保証はありません。

 

まとめ

これまで見てきたように、田舎で公務員になるのは良し悪しです。

しばらく安定して給料がもらえるのは利点ですが、民間で役立つスキルが見につかないこと、そのためいざというときに転職しようと思ってもできないことは大きな欠点であるといえます。

一昔前までは公務員といえば生涯安泰の職業の代表例でした。しかし時代は変わりました。財政破綻などの懸念に加え、終身雇用の時代が終わりつつある今、公務員も決して安泰とは言えなくなってきています。

今の時代、個人に求められるのは、肩書ではありません。肩書が変わっても通用するスキルを身につけることです。たとえば高い営業力があれば、会社が倒産しても食い扶持には困りません。高い営業力を必要としている会社はごまんとあるからです。
特に20?30代の方は、公務員などと言っていないでこれからの時代を生き抜いていけるスキルを身につけることを優先すべきです。

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