田舎暮らしの情報に触れていくと、夢がどんどん膨らんでいきます。
山に囲まれたところで、見晴らしのいい丘に木造のオシャレな家を建てて、薪割りして、お風呂は薪風呂に入って、庭には白い犬を飼って、野菜を育てて…
なんてステキなスローライフ。
だけどちょっと待った!
田舎に移住したいと口では言っていても、よくよく聞いてみると「都会にいるほうが幸せなんじゃない?」という人がときどきいます。
そういう人ほど、実際に移住してみたら色々と不満を抱えて「こんなはずじゃなかった…」と頭を抱えることになります。
じゃあ、それはどんな人? という話をする前にひとつ。
「引っ越し」と「移住」の違いって知ってますか?
引っ越し:住む場所を変えること
移住:ライフスタイルの変更を伴う引っ越し
ライフスタイルがそのままで、住む場所を変えただけ、というのはただの「引っ越し」です。
移住を考えるなら、自分のやろうとしていることは移住なのか、それともただの引っ越しなのかを自覚しておいた方がいいです。
なぜこんな話をするかというと、移住は得るものもある代わりに、失うものもあるからです。失うものが大きいと考えるなら、都会に踏みとどまった方がいいと思います。
そして今回は、「移住して失うもの」の話です。
移住して後悔する人その① 勝ち組でありたい人
「あいつは〇〇会社に入ってもう部長になったらしい」
「あいつは年収1,000万円いってるらしい」
「俺は同期の誰よりも出世して稼いでやるんだ!」
…っていう上昇意欲の塊のような人、いますよね。
そういう気質を非難する気は全くありません。お金をたくさん稼げるのも、高い地位に就けるのも、それだけ社会に必要とされていて、役に立っているということですから。すばらしいことです。日本の未来を創るのはそういう人材です。がんばってください。
けど、田舎には向いてません。
移住するとほとんどの人は年収が下がります。
ド田舎になればなるほど下がり幅は大きく、都会のサラリーマン時代の1/3になったという人も珍しくありません。
そんなあなたを、人によっては脱落者とみなす人もいるかもしれません。
「あいつは地方移住とかカッコつけて言ってるけど、要はドロップアウトだろ? 実力が足りないから諦めて負け組になったんだろ?」
そんな声を聞いたとして、あなたは耐えられますか?
実際、地方移住すると決めて、それを友人に話すと、心配されることが多いと聞きます。
「そんなとこ行って何すんの?」
「どうやって食ってくの?」
「家族は反対してないの?」
移住後の生活を具体的に考えている人ほど、こうした質問には即答できますし、何を言われてもブレません。
そして移住後にがんばってやっていると、心配していた友達がそれを見て、「あいつ大丈夫か?」という目から「あいつもがんばってやってんな」という目に変わります。
たとえ負け組と言われようとも「言いたい奴には言わせとけ。俺には田舎で過ごしたい人生があるんだ」と思うことができれば、気にせずにいられることでしょう。
ちなみにド田舎でも都会のサラリーマンに負けないくらいの年収を上げようと思えば不可能ではありません。ただ、移住する人はその必要性を感じていない人が多いです。お金より大切なものがあるよね、という考え方ですね。
移住して後悔する人その② 買い物好きな人
田舎では、都会と同じ生活をしようと思ってもできません。
①でも言ったように、田舎に来ると大抵の人は年収が下がります。なので、都会の年収では買えていたものが買えなくなります。
加えて、ブランド服の店とかオシャレな雑貨屋さん、小洒落たフレンチのお店なんかもないので、都会でステータスとされる生活は望めません。
バーゲンで安くなったブランド服を買いまくるのがたまの楽しみ、という方いませんか? 田舎はバーゲン自体ないですからね。
田舎になればなるほどブランド服を着てても褒められることはありませんし気づかれません。
むしろ「そんなカッコしてたら田んぼに出られんじゃないか(笑)」なんてモンペ姿のお年寄りに笑われることも。
服に限らず、都会では「いいね!」とされていることが、田舎では全くステータスにならないということは実はよくあります。
がんばって作り上げた自分の世界観が誰にも褒められず、それどころか「あの人変わった人だねぇ」の一言で片付けられてしまうと、ここつまんない、となってしまいがちです。
そんな人は都会のほうが満足した生活が送れることでしょう。
移住して後悔する人その③ 人間関係に疲れた人
田舎はマジでやめときましょう。
都会では会社から一歩外に出れば誰とも関わらないで過ごすことができますが、田舎ではプライベートな時間も人目にさらされてるんです。
ちょっとお出かけしても、あとで「あんた、こないだ〇〇にいたね」とか言われます。どこで見てたんだよ!誰に聞いたんだよ!そんなプライベートまで監視されてる社会はイヤだ!と思う人は、悪いことは言わないので田舎はやめときましょう。
特に夫婦や家族で移住を考えてる人、奥さんの意見をちゃんと聞いてくださいね。プライバシーは女性のほうが敏感ですから。移住してきたはいいけど、奥さんが耐えきれなくなって離婚した例もあります。
移住して後悔する人その④ 子供をエリートに育てたい人
月曜はピアノ、火曜は水泳、水曜はダンス、木曜はバイオリン、金曜は学習塾・・・
そうやって子供をお稽古事漬けにしているお母さん、いますよね。
もちろん子供の将来を考えてのことだし、それが悪いと言うつもりはまったくないんですが、田舎でもそれを実現させようとすると相当苦労します。
なぜなら、オシャレなアパレルショップが近くにないのと同様、習い事の教室も田舎にはほとんどないからです。
それでもがんばって実現させようとするガッツのあるお母さんには、漏れなくロングドライブの日々が待っています。
月曜はピアノのレッスンで隣町まで往復1時間、火曜は水泳教室で二つ隣の町まで往復1.5時間、水曜はダンスのレッスンで特急に乗って往復2時間・・・こんなお母さん、実際にいます。
ただでさえ仕事や家事に追われてる中、さらにこのスケジュールを突っ込むと、親も子供もヘトヘトに疲れてしまいます。
田舎と習い事は相性悪いです。
移住して後悔する人その⑤ 虫が嫌いな人
虫が嫌いな人は田舎では心休まらない日々を過ごすことになるでしょう。
言うまでもありませんが、自然が身近にあるのはいいことばかりではありません。
田舎には虫がごっそり。それもチョウチョやカブトムシだけではなく、カメムシ、ガ、アリ、ハチ、ムカデ、ゴキブリなど害虫のオンパレードです。
私自身も夜寝ているときにムカデに噛まれたこともありますし(2階なのに)、外で遊んだ子供の服にカメムシがくっついてきたことも珍しくありません。
最近ハチがよく窓の近くに飛んでくるなあ・・・と思っていたら、クーラーの室外機の中にハチが巣を作っていたなんてこともありました。
私の妻は田舎育ちなのに虫が苦手で、家にゴキブリが出現するたびに「ひあっ・・・!」と悲鳴を上げる始末。子どもがチョウチョ触っただけでも消毒させてるし。
特に子供が小さいときはムカデの薬を家の周りに撒きたいけど子供が触ると危険だから撒けない、というジレンマにイライラしていました。
このように、田舎で虫を気にしだしたらキリがありません。
田舎暮らしに向いている人
都会にいる方がまだ幸せな人の5つのパターンを紹介してきましたが、じゃあ逆に、田舎暮らしに向いてる人はどんな人でしょう?
まずは、これまでの話を読んで、「うわ、イヤだな」と思わなかった人。
年収が下がっても、ショッピングができなくても、隣のおばちゃんにウワサされても、別に大したことなくね? と思った人。人間関係次第ですが、高い確率でイケます。
あとは、都会の価値観に疑問を持っている人。
お金お金ってみんな言ってるけど、お金ってそんなに大事かなあ、お金以外にも大事なものがあるんじゃないかなあ、と思っている人。こういう人は田舎に行っても後悔しないでしょう。
都会ではお金がないと何一つできませんが、田舎ではお金にあまり頼らずに生活することができます。モノの交換手段はお金だけではないからです。所得だけ見れば貧乏ですが、お金という手段を使っていないだけで生活は意外に豊かだったりするのです。
おわりに
そもそも、本当に田舎暮らしをしたいのか、よく考えてみてください。
移住するとプライベートの時間が激変することには納得していますか? ショッピングやエンタメを楽しめなくなっても大丈夫ですか? 今まで気軽に会えていた友人と離れ離れになってしまっても大丈夫ですか?
今の会社が辛い、とにかくこの職場から逃れたい、というのであれば、移住以外にも選択肢はあります。
仕事は満足してないけどプライベートはやっぱり都会の方が楽しそうだな、と思ったなら、わざわざ手間暇をかけて移住する必要はありません。ホワイト企業に転職するとか、これまでの仕事で培ったスキルを活かしてフリーランスで稼ぐという手もあります。
いまは転職サイトも仕事紹介サイトも充実しているので、そちらで探してみてもいいでしょう。
移住とはライフスタイルの変更です。都会のライフスタイルをそのまま持ち込もうとすると、どうしても無理が出ます。
それを不満に思うようなら、都会の生活の方が向いているかもしれません。
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